tome's コラム 2

 何千年繰返されてきたか・・・。
また季節はめぐり、2004年も春を迎え、やがてまた暑い夏が来ます。
私たち日本人は四季を味わう事が出来る分、一年の中で意識の
変化を持てるという点はある意味大変幸せな事であります。

 しかし、これからの季節、ブーツ愛好家にとっては足も暑い季節、
そしてブーツ愛好家ではない方は”何故、この暑い中あんな履物を
はいているのか?”と問いたくなる季節でもあります。
 
 私として、お客様にブーツをお勧め、販売しているとともに、自分自身も
愛好家なので、その内心を述べたいと思います。そして改めて
愛好家の方の再認識と、新しい愛好家が増えてくれる事を
祈りつつ、書き綴りたいと思います。

 ブーツの歴史について長く述べるつもりはありませんが、
手っ取り早く言うと安全や防寒を含め、様々な機能が、色々な型の
ブーツを形成して今に至っているといえます。
 しかし我が国日本においてのワークシーンでの履物の歴史は
足袋という、足への繊細な感覚を伝える道具につき、欧米の
スタイルの物とは違った点の機能を重視しているともいえます。

 
日本における欧米の靴、特にブーツは諸外国の文化の導入や
反映がまず第一だったのかもしれません。
私たちがアメリカの映画や写真でのブーツの姿に
憧れ日常 身に付けるよう明治時代や幕末末期の人たちも
”格好いい”とか”格好をつける”という、少々不純な動機が
その始まりだったかもしれません。

 でもそれでいいと思います。確かに安全などの機能を重視
した用途でブーツを身に付ける人もいますが UNION MADE
売っているブーツは”格好がいいから、どうですか?”という
日常の着用が第一にきているのは確かです。
非愛好家の方の”何故この季節に・・・?”という設問に対しての
答えの中には、機能の提示とともに、根本には”格好がいいと

思っているから”ということが最終的に大きなウェイトを占める理由でしょう。

 前のコラムにもあるよう、植えつけられたイメージの具体化の一端が
ブーツを身に付けるということの起因でもあります。

 さて、そんな事から始まる愛好家のブーツライフ。私においては
小学校5年生の頃、当時全盛を極めていた「太陽にほえろ!」のなかで
勝野洋氏がテキサスという愛称で呼ばれ、ウエスタン風の衣装を着て
ブーツを履いていた・・・。”俺も欲しい!”と思って母親に
近くのデパート(イトーヨーカドー)で、ポイントトウのサイドジッパーのついた、
いわゆる”なんちゃってブーツ”を買ってもらったのが始まり。
同級生の間ではさながら坂本竜馬のような扱いでした。
 でも地面を歩く時”コツコツ”と音を立てて歩く事にたまらない優越感がありました。

 そして時代はヘビービューティーなものがもてはやされてきて
赤茶色のワークブーツやハードなエンジニアブーツが脚光を浴びていました。
 それらをてにいれたのは、ごく自然な流れでした。当時はまだ周囲から
ド○タ靴と言われていましたが、そのまま私は成長して行きました。

 社会人になり使えるお金が増えてきて、多くの情報を得て一見同じように
見えるブーツもグレードアップしてゆき自分の優越感が高まっていくとともに
ブーツの機能も体得して、何が良くて、何が悪いのかという事も
わかってきました。

 今こうして皆様にブーツをお勧めしてゆく上で、ブーツとは

アッパー(上部)の革が上質であり頑丈である事は必要であり分かりやすい点
ではありますが”過ぎたるは・・・”。適切な履き心地が得られるかが問題です。

 そして履き続けていったとき、各社が持っている、靴を作るときに使う木型が、
どのようなものかで、履きやすさが大きく左右されます。

 靴底に使われるラバーの上部にあるミッドソールという部分も
低コスト、量産型のものはプラスティック。本来は昔から圧縮した革で作られます。
これによっても足への馴染みや足の動きへの呼応が大きく変わり、
その靴を長くはけるか、履いていこうと思えるかという点を左右します。
 そして用途に合ったラバーのソールの部材を使う事も大事です。

 今まで私たちは、アメリカなどの”あるタイプ”用の物を供給されて
手に入れてきたといえますが、本家ではその人の使う用途によってブーツを、
またパーツを決めて作っていくことは当たり前なのです。

 そして、今の時代はそれを日本において、ファッション性でTown−useとはいえ
チョイスして形成することが可能になりました。
 イメージ優先でいいのです。でも、自分として欲しいものを「 形 」にしてください。
 
 私自身が学んできた中、ここで御紹介しているブーツ達は様々な要素で、
今 BEST なものの一端であります。
漠然とした質問を頂くところからでも、どうして行くかやり取りをしていくうちに
貴方のためのものが始まっていくでしょう。

ブーツは道具でもあるのでドンドン使ってもらっていいんです。その分
ブーツとあなたのストーリーは増えてゆきます。何年も付き合って良き相棒に
なってくれる事でしょう。
 是非 そんな貴方のブーツ・ストーリーを手伝わせてください。
                             お待ちしております!!

末記
  〜人生の節目のブーツ〜
 70年代の後半・・・”合理的なアメリカ人は頑丈なワークブーツを
大学の入学時に親からプレゼントされ4年間履き続ける。”
という情報をキャッチしました。

 今思えば信憑性はありません。
しかしそれに感化された私は通常成人式には両親がスーツを
作ってくれるという定番の中、同じくらいの価格だからといって
Red Wingのアイリッシュセッターを両親からもらいました。
もう20年前の話です。
 
 当時親は”こんなド○タ靴を・・・?””今欲しいと思っている物をねだった
だけだろう”と思っていたでしょう。しかしその真価は20年後、親とも
なった私が、その靴を持ち続けていることで、理解を得られたかも
しれません。

 長く使うものならば、そのストーリーも一緒に持ち続けていく事も
大事です。どんな行動にしろ、その時、その時の貴方の人生のページ
に書かれているのは確かです。
 それをどれだけ印象に残る章にするか、又、人に与えたりするかが
出来ます。

 ブーツ非愛好家の方でもブーツ以外で何かに同じ思い入れを
持っているでしょう。ことブーツに関しては?でも皆
気持ちは一緒です。
 
味わい深い。”Quality Life”を!!



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